ラグジュアリーとは時間である。

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こんにちは。ミランダかあちゃんです。
今日から公開の「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」
をさっそく見てきました。
かあちゃんが行った初日の初回には、
ブライダルデザインの大御所、桂由美先生もご観覧にお出ましでした。

 

ドリス・ヴァン・ノッテンはベルギー出身の男性デザイナーです。
1999年にアントワープにブティックをオープンさせ
25年一度も休むことなく、メンズ・レディースコレクションを年4回ペースで発表しています。
世の中にどんなにシンプルでゆるくてモノトーンが流行ったとしても
彼が作り出す服は、素晴らしく凝ったテキスタイルと色のハーモニーが織りなす独自の世界観で、ミシェル・オバマ夫人や、ニコール・キッドマンといったセレブリティーにも愛され続けています。

広告は一切しない、
大きな資本の傘下に入らず自己資金だけで経営する
手軽なアクセサリーや小物は作らない
という潔い姿勢で活躍し続ける珍しいタイプのデザイナーでもあり
「独立系ブランドの雄」とも言われます。

この映画は2015年レディースコレクションから
2016年のパリ・オペラ座でのメンズコレクションまでの期間、
ドリス・ヴァン・ノッテンに密着したドキュメンタリー映画です。
ドキュメンタリーだから、ストーリーや盛り上がりはありません。
それでもやっぱりかあちゃんはこの映画を、できるだけたくさんの方に見ていただきたいと思います。

 

出典:Pinterest

ところで、私たちが日頃お店で見かける服って圧倒的に無地が多いですよね。
(自社工場で1年前から原反先行で開発しているZARAをのぞき)
服を作る立場からすれば、黒やグレイの生地で服を作るのはある意味安心なんです。
作った服が人気がなければ、同じ原反で違うデザインの服を作ればいいわけですから。
個性的な凝った布地や織物は、仕入れてしまって外すのが怖い。
手間もかかっているために高価ですしね。
そんな中にあって、ドリスのテキスタイルというのはかなり異彩を放ちます。
見たこともない斬新な色柄だったり
ウールの素材の上に、豪華な刺繍やスパンコールがほどこしてあったり
メンズのスーツ地のようなウールの上に、刺繍付きのチュースレースが貼ってあったり。

ふつう、服作りというのはデザイナーが書いたデザイン画があって
それを元にシーチングという生成りの綿の生地を人体にあてがって裁断してシルエットを確認、
そうして素材を当てはめていくという順序で作られることが多いです。

 

ところがドリスの場合は素材が先です。
広いオフィスの床に世界中の織物メーカーに発注した生地サンプルを並べて
それを人間のモデルさんにあてがい、
この素材はジャケットの襟に、この素材はシャツに、この素材は靴にと、組み合わせを考えていく。
まさにテキスタイルのパズルです!!
だから、スタイリングした時に
個性の強い素材や色同士が、これ以上ないほどの絶妙な分量感で美しいハーモニーになっていく。
本当に美しいアートそのものです。

ドリス自身はデザイン画を描かず
パズルのような素材合わせの後に、デザイナーチームが絵を描き
仮縫いされたサンプルをたたき台にして、最終的に作る服を絞り込んでいきます。
この服作りはかなりユニークな手順。
ドリスがいかに「素材」というものを重視しているかがうかがえます。

「私はじっくりと味わえる服を作りたい」
「時代を超えたタイムレスな服を目指している」
「”魅力的”と人が反応するのは服に込められた誠意と情熱、つまり作り手の心だ」
「刺しゅうはとても尊いものだと思っている」
これらは全て映画の中のドリスの言葉です。

 

安く手軽に簡単に作られるファストファッションにもいい点はたくさんありますが
流行の流れだけをパッと切り取ってパッと作られた服は、
やっぱり生まれた時から短命という宿命なのではないでしょうか。

「ラグジュアリーとは時間である」
と、エルメスのチーフデザイナーも言っているように
手間や時間をかけてていねいに作られたものには、長く愛される価値がある。
そうした服に年に1枚でもいいから袖を通してみる、
それが大人ならではの楽しみなのではないかしら、とかあちゃんは思います。

 

昨シーズンのドリスは、通算100回目のコレクションで
過去10年に使用した素材を、別のデザインに再構築した素晴らしいものでした。
10年前の素材も1年前の素材も、タイムレスで美しいです。

今もうちょうどセールの時期なので、商品は歯抜けの状態だと思いますが
三越伊勢丹や路面店で見ることができますので、
思い出したらぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

ラグジュアリーとは時間である。” に対して 4 件のコメントがあります

  1. M.A より:

    ミランダかあちゃん様

    ご紹介をありがとうございます。
    ドリスの服は一枚も持っていませんが(笑)
    彼の世界観が大好きなので絶対観に行こうと思います❗️

    こういうファッションドキュメンタリーは日本人はあまり観に行きませんよね…
    もっとファッション関係者だけでない人にもアートを観る感覚で観に行って欲しいなぁ、と思います。

    パリに行かれた方のブログを拝見したら、ディオールの展覧会がかなりの混雑だったようで、サンローランがデザイナーの頃のドレスの展示もあったようで溜息ものでした〜

    銀座に何年か前にもディオールの展覧会が開催されてましたが、それを上回る規模でした、観に行きたい〜〜!

    フランスでは幼少の頃からこういうファッションの展覧会にも積極的に連れて行くようで
    小さい頃からこんなに美しい物に触れていたら審美眼も養われますよね。

    またかあちゃん様のおススメ映画をご紹介くださいね。
    あ、読書も参考にさせていただいてます♪

    1. 輪湖もなみ 輪湖もなみ より:

      M.Aさま、いつもコメントありがとうございます。
      ドリスの映画は、本当にオススメなのでぜひぜひ〜♡
      あ!かあちゃんも拝読しました、マダムのブログ。
      本当に圧倒されるような展示で、文化の厚みを感じずにはいられませんでした。
      そんなにしょっちゅう海外はいけませんが、国内で見られる美術展・企画展はできるだけ見に行きたいと思っています^^

      1. M.A より:

        ご返信をありがとうございます^^
        madame Hのブログ、ご覧になりましたか♪
        輪湖さん、治子さんと、ステキな方達のブログを読むのが毎日の楽しみです。
        明日、レディース・デーなのでドリスの映画を観て参ります、
        その前に
        久しぶりの銀座でライダースも探しに行こうかと思います。

        1. 輪湖もなみ 輪湖もなみ より:

          M.Aさま、お返事ありがとうございます^^
          madame Hさまのブログを拝読していると、かあちゃんがファッション業界に入った時にものすごく憧れだった先輩方を思い出すんです。
          きれいな人ばっかりで、クラクラしましたー。
          今年はライダースが豊作でしたから、セールにもいいものが出ていそうですね!!

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