スカーフ偏愛物語(1)世界一売れたスカーフ
こんにちは。ミランダかあちゃんです。
電車でかあちゃんの真ん前に立っていた若い男性が、突然襲われたニワトリのように激しく頭をふり出しました。
「どっ、どうしたのっ?」と思わず話しかけそうになって、耳にイヤホンが入っているのに気がつきました。
最近のイヤホンって線がないから(通称耳からうどん)わかりづらいです〜。
ところで最近のお洋服って、昔に比べ無地が多いと思いませんか?
大手のアパレルは「原反」と言う大きなロールで布を仕入れます。
「ポリエステルの無地の黒」みたいな布であれば、ボトムスで売れ残ったら次のシーズンはジャケット作って・・と使い回しができますが、一度見たら忘れないような面白いプリントって、売れ残ったらどうしよう・・って思っちゃうんですよね。
最近テキスタイルデザイナーの活躍の場も減ったと聞きますし、図案からおこしてプリントされたユニークな柄物ってますます貴重になりました。
その点、図案デザインに時間をかけ、製版を作り、シルクスクリーンで何回も色を重ねて・・・と
気が遠くなるような手間ひまをかけて作られるスカーフは、現代の神話と言ってもいいくらい価値あるものだとかあちゃんは思います。
以前にこのブログでも書きましたが、悲しいことにかあちゃんはスカーフが似合いません。
丸顔で首も短くて、分厚いエルメスのカレを巻くと、まるでドラえもんの首輪、結び目は鈴。
なんとか自分のものにしたい、けどできない・・
かあちゃんのスカーフ愛は、絶対に振り向いてくれない男性への執着と同じかもしれないです。
自分では巻けないクセに、集めてしまう。
これは、キティーちゃんやフィギュア集めにハマる人と同じ、かあちゃんの癖(へき)なのでございます。
そんなかあちゃんですから、皆さんの貴重なスカーフをお預かりしてバッグやストールにリメイクする仕事は、見たこともないスカーフが見られるパラダイス!
その美しい世界をかあちゃんだけが独り占めしておくのはもったいないので、たまに「スカーフ偏愛物語」を書かせていただこうと思います。
シリーズ1回目の今日は(勝手にシリーズ化)エルメススカーフ最大のヒット作について。
馬具作りからスタートしたエルメスの製品は、馬や馬具の図柄が多いです。
中でも1957年に発表された「BRIDES DE GALAブリッド・ド・ガラ(式典用馬勒)」はエルメススカーフの最大のヒット作。
「馬勒」は馬の頭につける飾りのこと。
30万枚近く売れ、世界一売れたスカーフとしてギネスブックにも載っているそうです。
そして色違いは60色以上!
エルメスのスカーフはデザイン画をトレースして製版し、色を1回1回重ねるシルクスクリーン手法という方法で作られているので、同じデザインの色違いが繰り返し出されるんです。
同じ図柄でも、配色によって全く印象が違いますね。
ハートのは京都祇園限定エルメス、
最近では使いやすそうなバンダナ柄も。
フランスでは、若い娘が最初に購入するカレは「ブリッド・ド・ガラ」のピンクでなくてはならない、って言われるそうです。
2018年7月に六本木、国立新美術館で開催されたエキシビジョンエルメスが贈るシネマ体験「彼女と。」で展示されていた「ブリッド・ド・ガラ」のニットカーディガン。
モノトーンと赤いブーツで、伝統柄がスタイリッシュに再現されていました。
二番目に売れたと言われるのが、「Les Clés レ・クレ(鍵)」
カティー・ラタムさんという、エルメススカーフのベテランデザイナーの女性のデビュー作です。
かあちゃんのファーストエルメスも、ピンクのレ・クレでした。
金属の鍵とタッセル。
用の美を追求するエルメスらしい古典柄だと思います。
下の写真はかあちゃんのスカーフ専用クローゼットの1部。
だいぶリメイクに使ったけど、まだ200枚くらいはあるかな。
コレクションルームですから、クローゼットマップとは別腹です!
あ、自分でもちゃんと変態だってわかってますから。
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ミランダかあちゃん、おはようございます。
スカーフ偏愛物語のスタート、おめでとうございます。そして、ありがとうございます。大変興味深く拝読致しました。
フランスのお嬢さんやかあちゃんのファーストカレのお話が面白かったです。ピンクのレ・クレ、乙女ですね。ファーストカレという概念、初めて知りました。私も記念になるような柄を選べばよかったです。これも思い出ですね。
かあちゃんが何でもないとお思いになるような知識やエピソードが、私にとっては新鮮な発見に満ちていそうです。
第二回が今から楽しみです。
こち亀のような息の長~い連載となりますように~
よしえさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
かあちゃんの変態趣味におつきあいくださりありがとうございます。
デザインから商品化まで2年もかかるスカーフもあり、簡単に作って簡単に捨てる今の世の中ではすごく貴重に感じるのです。
これからもどうぞおつきあいくださいませ。