どんな服も人の手でできている

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こんにちは。ミランダかあちゃんです。

コボちゃんに、これ面白いよ〜と教えてもらい
「日出る国の工場」村上春樹・安西水丸
という本を読んでみました。

「人体標本工場」「消しゴム工場」「コムデギャルソン工場」「アデランス工場」などなど
この本が刊行されたのが1987年なので(平成26年で第16刷!)
村上春樹氏が全くの個人的興味で選んだ、
まだ昭和の香りがする工場に取材をしてみたという本です。

 

この本の中で「コムデギャルソンの工場」が取り上げられていました。
と言っても、「ロッテ工場」とか「ハウス食品工場」などのように、
コムデギャルソンの服を作る専用工場があるわけではなく、
縫製の過程はごく普通の小〜中規模の縫製工場に発注されます。
(たいていのアパレルはこのパターンです)

村上氏が取材しているのは、江東区の一階が住居二階が工場、家族とパートさん数名、
ベランダにトマトが栽培されているという小規模な縫製工場さん。

普通なら8枚くらいの型紙で作るジャケットを、コムデギャルソンの製品は20枚以上もあって、
裁断する→縫う→アイロンする
を何度も何度も往復して、
「コムデギャルソンの服は手がかかるので、1人で一日2枚縫い上がればいいほう」
と工場のおじさんは話しています。

 

 

昔話をすると笑われそうだけど、昔はこういう工場さんが少なくはありませんでした。
人気ドラマ「陸王」の「こはぜ屋」みたいな感じ。
(今こういう工場はどのくらい生き残っているんだろうか)

アパレルのデザイナーやパタンナーは、デザイン画を描いて型紙をおこし、
生産担当者がファスナーやボタンなどの副資材を用意して
縫製指示書を書いて工場さんにお願いするのだけれど、
難しいもの手の込んだものは、デザイナーさんがしょっちゅう工場に直接行って、
編み地や仕立ての具合をチェックしたり相談したりしていました。
今ものづくりのスピードが速くて、とてもそんな悠長なことしてる場合じゃないんだろうなあ。

腕の確かな技術者がいるこんな風な工場が、どんどん減っている中で
昔も今もかわらず手の込んだ服を作り続けている「コムデギャルソン」というブランドは
本当にすごいなあと思います。

ただ、こんなにマニアックな商品ではなくても、
糸からニットを編み立て、布地から服に仕立てあがる工程には
必ずと行っていいほど人の手が入ります。
どんなにオートメーション化された工場でも、です。
それくらい、服って複雑だし手間のかかるもの。

 

こちらの記事で、売れ残った商品は廃棄されるという現状を書いたことがあるけど

売れ残った商品がたどる悲惨な末路

 

少なくとも、縁あって一度袖を通した服は、
「ああよく着たわ」と思えるくらい着てからお別れしたい。
だから「クロゼットマップ」を作りましょう、なんて書いているのかもしれないわねえ・・と、
昭和生まれのかあちゃんは思います。

安西水丸氏のイラストは味があって
好奇心いっぱいの小学生が取材したみたいに、ほのぼのした「工場愛」が感じられる楽しい本でした。

「日出る国の工場」村上春樹・安西水丸 

アデランスの社員が突然目の前で
「いや、実は私も・・」と言って、ベリベリと髪をはがし始める、
というところを電車の中で読んでいて、
体を震わせて笑いをこらえちゃったわ。その点くれぐれもご注意を。

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